2008年08月08日

北京故宮 書の名宝展

両国の江戸東京博物館で開催されている特別展『北京故宮 書の名宝展』を見に行ってきた。
今回の『書の名宝展』は、唐代〜清朝、中華民国時代までの作品が展示されていた。

書の展覧会を観に行くのは、2006年の1月から2月にかけて、東京国立博物館で開催された『書の至宝−日本と中国』展以来。
『書の至宝〜』で展示された中国の作品は、戦国時代〜唐代までのものであったから、一部時代が重なるものの、今回は『書の至宝〜』のほぼ続編のような位置付けと見ることも出来る。

今回は、王羲之の「蘭亭序」の書家による写しが、写真・実物取り混ぜて何作も展示されていた。その多くは書体も墨で消した(原本は王羲之が酔っ払って書いたものなので、書き間違ったりもした)跡も全て忠実に写してあるもの(所謂「臨書」)だが、1作品だけ、同じ文を全く独自の書体で書いたものもあった。
「蘭亭序」は、現代日本語訳が説明文と一緒に掲載されていたのだが、文自体もなかなか名文だなと感心する。尤も、如何にも酒に酔い、友人等と過ごしているこの楽しいひとときにも気持ち良く酔っている様子も伝わってくるのだが。多くの書家が臨書したのは、「書」としても「文」としても惹かれるものを感じたからなのだろう。
王羲之の真筆による「蘭亭序」は、現代には伝わっていないのだという。

『書の至宝〜』の時と比べると、時代が下っているせいか、書体も個性的なものも幾つか見られた。
金農の「隷書抄録沈周伝軸」は、隷書としても特徴的な程に角張った、パソコンのデザインフォントにもなりそうな書風。
「遠藤昌弘著作選」というサイトの、「漢字の五体(41)」にて、金農の別の作品(書風は同じ)が紹介されている。

他には、篆書になるが、ケ石如による「篆書四箴四屏」の、整然とした美しさも良いものだと思った。
ちなみに篆書の作品を「書」と見て好きになったのはこれが初めてかも知れない。

《参考リンク》
 ・毎日新聞
 ・江戸東京博物館
 ・日本ケ石如研究会 --- 2008年8月11日追記
posted by D(各務) at 23:33| Comment(6) | TrackBack(0) | 美術

2007年08月03日

ルドンの黒

6月30日に観に行った「プラハ国立美術館展」に続いて、やはりBunkamuraザ・ミュージアムで開催されている、題記の展覧会を観てきた。

子供時代に学校の美術の授業では習わなかった画家のように記憶している。それでも興味を惹かれたのは、中学生の頃、新聞の美術欄(とでも言うのかしらん。毎日解説付きで色んな絵を紹介している欄があった)に掲載されていた、《仮面は弔いの鐘を鳴らす》を観たときの衝撃があったからだ。

仮面は弔いの鐘を鳴らす
《仮面は弔いの鐘を鳴らす》は、《エドガー・ポーに》と題された画集のなかの1枚で、リトグラフ(石版画)で描かれている。
画の中で、骸骨が鐘を鳴らしている。それだけでもあり得ないよう構図だが、その頭部は、何処からか切り取られてきたかのような、おびえるような表情の仮面をしている。。。

リトグラフは石が版下なので、下絵を描いたり、刷ったりするのもなかなか難しいのではないか(←やったことないので勿論想像です)と思うのだが、ルドンのリトグラフは非常に緻密で細かい線も多用しつつ、極めて自然な陰影や濃淡の表現になっている。
白と黒だけで描かれる《エドガー・ポーに》を始めとする不気味な世界の表現にまた、リトグラフは良く合った技法でもあるのだろう。また、他の作品では、エッチングとその他の技法を併用した画の存在も目立った。

ルドンの絵には、生きた人間のように振る舞う骸骨や、邪悪なものや嫌悪の対象とでも言うべき、不気味な怪物を描いたものが多い。これは、普仏戦争による、不安な社会的背景が、この画家の心理に影響していたというようなことが、解説に書かれていた。
・・・目に見えない不安を、怪物を描くという形で表現したということか。

この展覧会、会場の何箇所かに、CGアニメーションが展示されていた。ルドンの1枚の画から、例えばそこに描かれている目玉が色々変遷していって最後に、また別のルドンの画の一部として収まるといった、言わばお遊び的なものである。これそのものは本来的なものではないだけに、色々意見が分かれそうな展示ではあるが、そういうものを楽しむという要素も、この展覧会にはある。
posted by D(各務) at 11:47| Comment(0) | TrackBack(0) | 美術

2007年06月30日

プラハ国立美術館展

5月26日にも書いたが、Bunkamuraザ・ミュージアムで「プラハ国立美術館展」というのをやっている。期間は今月9日から7月22日まで。
ブリューゲルの作品が出ているということと、日本チェコ協会からの案内があったということで関心があったのだが、何故にブリューゲルかというと、Zdeněk Fibichのピアノ曲《画家の作品》の第2曲 "Spor masoputsu s postem" が、ピーテル・ブリューゲル [Pieter Brueghel] の作品"The Fight Between Carnival and Lent"を題材にしていて、これがきっかけで幾つか作品を見ていたことがあって、そのいくつかが気に入っていたから、ということであったりする。

そんなこんなで、また、開幕直後と終了直前はめちゃ混みするだろうということで、今日、この中途半端な時期を狙って行ってきた。

こんなページを作るために調査をしていた段階で、「どうやらブリューゲル家には、画家となった人物が複数いるようだ」ということまでは何となく分かっていたが、それが今日見てみると、案外大人数であったことが分かった。また、彼等を含めたフランドル派は幾つかの主要な画題を持っていて、それらを描き継いでいったこととか、愛好家の要望に応える為に、1枚の原画を書き、工房で模写が大量(なのか?)生産するケースがあったこととか、色々面白い事が分かって、そういう面からも興味深いものだった。

ブリューゲルの比較的有名な画題の一つは「バベルの塔」ではないかと思うのだが、今回は残念ながら、ブリューゲル本人の《バベルの塔》は1枚もなく、彼の影響を受けた画家の一人が描いたと伝えられる、所謂作者不詳の《バベルの塔》が1枚出展されていた(でもどうして、この作品もなかなか良かったが)。

人物が密集した絵が多く、また、レンブラントの《夜警》を髣髴とさせるような、コントラストの強調により画題の中心を強調する手法を用いた作品が比較的多かった。

ザ・ミュージアムを出たところに、オープンカフェ風のレストラン「ドゥ マゴ パリ」がある。
ここでは今、「プラハ国立美術館展」開催記念メニューということで、チェコ料理の1つであるグラーシュと、チェコビールでも世界的に有名なものの一つであるバドバー(これを参考に後にアメリカで作られたのが、バドワイザーであるのは有名な話)がメニューに入っている。
posted by D(各務) at 23:46| Comment(0) | TrackBack(0) | 美術

2007年05月26日

プラハ国立美術館展

来月から始まる美術展:



プラハ国立美術館展
 ルーベンスとブリューゲルの時代

期間:2007.6.9〜7.22
場所:Bunkamura ザ・ミュージアム(渋谷)



Bunkamuraはおろか、渋谷も私用では滅多に出かけないので今まで良く知らなかったが、他にもなかなか面白い展覧会を開いているようだ。
上記の次は、《ルドンの黒》ということで、オディロン・ルドンの作品が見られるようだ。
posted by D(各務) at 10:51| Comment(0) | TrackBack(0) | 美術