2011年04月14日

J. V. ヴォジーシェク:《6つの即興曲》 HENLE版

以前ここでも取り上げたことのある、ヤン・ヴァーツラフ・ヴォジーシェク [J. V. Voříšek] のHENLE版、漸く見てみた。
ソナタなどが目当てだったのだが、既に所持している《6つの即興曲》も入っていて、これは若干誤算だった。
他には、「即興曲」、《幻想曲 Op.12》、《6つの変奏曲 Op.19》、《ソナタ Op.20》が収録されている。

これまで、HENLE版というのは基本的に校訂がきっちりされているものというイメージがあったが、今回この楽譜を見るにつけ、だからといってこれを鵜呑みにするのもどうかという気がしてきた。
というのも、即興曲第5番を見ていたのだが、そこにはベーレンライター・プラハ版に書かれていたタイの多くが欠落していたからだ。
譜例を示せないので、楽譜が手許にない人には著しく説得力に欠けるが、例えば9小節目〜10小節目のバス(E)はタイで繋がっている方が自然だが、HENLE版ではそうなっていない。同様の箇所は全て同様にタイが欠落している。
一方、75小節目の運指はベーレンライター・プラハ版の指示よりも私の指には適っていた。
ペダルの指示も微妙で、HENLE版の場合、トリオのところのみにあるのだが、モダンピアノでの演奏でそこに書かれている通りに踏んだら、かなり音が汚くなると思うのだ。但し、ペダルを踏んでも残響が大して長くなかったヴォジーシェクの時代のピアノで弾く分には、全く問題なかったに違いない(ヴォジーシェクの短い生涯は、彼に目を掛けていたベートーヴェンの後期と重なる)。
無論、ベーレンライター・プラハ版では、同じ箇所でももう少し細かく踏み直すように指示がなされている。

思うに、HENLE版の方が、一次資料(それが自筆譜かどうかはさておき)により忠実で、ベーレンライター・プラハ版はより実際的な方針で校訂・編集されているのではないか。
HENLE版に書かれていない多くのタイが、一次資料には書かれていない為に、HENLE版でも追記されていないのではないか。そうでなければ、ないと不自然であるにも関わらず、こうも抜けたままにはなっていないだろうと思うのだ。
posted by D(各務) at 23:59| Comment(0) | TrackBack(0) | ピアノ
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