2016年11月23日

ヤナーチェクは晩秋の足音

日時:2016年11月23日(祝)14:00 -
会場:渋谷区文化総合センター大和田 4F さくらホール

プログラム
 ドゥムカ
  Vn.上里はな子、Pf.松本和将
 弦楽四重奏曲第1番「クロイツェル・ソナタ」
  プレシャス・カルテット(加藤えりな、古川仁菜、岡さおり、小川和久)
 フラッチャニの歌
  Sop.岩下晶子、Fl.田村桃子、Harp.千田悦子、女声合唱団Belveder(言語指導:ペトル・ホリー)
 コンチェルティーノ
  Pf.松本和将、Cl.横川晴児、Fg.草野雅行、Hr.高橋臣宜、Vn.上里はな子・岸本萌乃加、Va.井上祐悟
  〜 休憩 〜
 シンフォニエッタ(中島良史編)
  Orch.さくら・シンフォニエッタ、Cond.中島良史

この演奏会では全てヤナーチェクの作品でプログラムが組まれ、その編成からなかなか演奏会では取り上げ難い作品も演奏された。
例えばフラッチャニの歌は女声合唱とハープの編成。
シンフォニエッタにはハープとバス・トランペット、テナーチューバを必要とし、しかもバス・トランペットを含めファンファーレだけのための管楽器奏者群がおり、彼らは第1楽章と終楽章にしか登場しない。
コンチェルティーノもピアノ四重奏の編成にホルン、バスーン、クラリネットを加えたもの。「ピアノ七重奏曲」と称しても良さそうな形態だが、ヤナーチェクは「コンチェルティーノ」の方が良いと思ったのだろう。

「フラッチャニの歌」
この作品は録音が殆ど出ておらず、入手が殆ど不可能であるそうだ。
チェコ音楽研究家の関根日出男先生によると、戦争に多くの男性が取られてしまった中であったため、男性がいなくても演奏出来るよう、女性合唱の形態になったとのことだった。
歌詞の意を受けてのことと思うが、最後にハープが低音を暗く響かせるところが印象的だった。

「クロイツェル・ソナタ」
CDで何度か聴いていたが、その時に気付いていなかったことがあった。
一つは、ヤナーチェク自身のピアノソナタ「1. X. 1905」からの引用と思われるフレーズがあったこと、もうひとつは関根先生が言われた「ベートーヴェンのクロイツェル・ソナタからの引用」について。
幸い録音は持っているので、改めて聴きこんでみようと思う。

「コンチェルティーノ」
編成もさることながらスコアもちょっと変わっている。第1楽章はホルンとピアノだけ、第2楽章から徐々に他の楽器も入ってくる。
「要らない」と思った楽器は黙らせておくというだけのことなのだろうが、それにしても偏りが激しい。まるでベートーヴェンの「合唱幻想曲」のよう。
ホルンはなかなか難しい音形だったと思うが、安定感した演奏だった。プロの中でも相当技量がある方だろうと思ったが、あとで中島良史さんとそのことを話した時も「彼の実力は日本人ではナンバーワンだ」とのことだった。

「シンフォニエッタ」
それまでのプログラムでソリストとして登場した管・弦奏者も楽団員として登場。
ティンパニに百瀬氏(N響で主席奏者を長く務めていた)が登場したのには驚いた。終演後、中島さんが各奏者を客席に紹介して拍手を送る中で、百瀬氏にだけは最敬礼で謝意を表していた。
ファンファーレ専門組は全員スタンドプレイだったが、そのせいか彼らの音はよく飛んできた。


全体としては、取り上げる作曲家にせよ、作品の編成にせよ、よくこんなに無茶な演奏会を組んだなという印象(チェコ音楽好きは大喜びであるが)。
そして、演奏の質が高かった。
posted by D(各務) at 23:59| Comment(0) | TrackBack(0) | 演奏会・リサイタル
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。
この記事へのトラックバックURL
http://blog.sakura.ne.jp/tb/177802421
※ブログオーナーが承認したトラックバックのみ表示されます。
※言及リンクのないトラックバックは受信されません。

この記事へのトラックバック